2014年6月18日水曜日

ISO審査員のひとり言と日本民族の得意・不得意 AS9100-(3)

ISO審査員のひとり言と日本民族の得意・不得意 AS9100-(3):



以下引用ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

航空宇宙防衛製品のQMS規格であるAS9100は、自動車業界のQMS規格であるTS16949同様、ISO9001に基づいた規格です。現在ではISO 9001:2008の要求事項はそっくりそのままベースとして適用され、その上に追加要求事項が乗っている構造になっています。
TS16949は、9001の2008年版改訂に伴い、ISO/TS 16949:2009となりました。AS9100は年度版表示ではなく、A, B, Cの追番制で、現在の最新版は2009年1月に改訂されたSAE AS9100C "Quality Management Systems - Requirements for Aviation, Space and Defense Organizations"で、IAOG(International Aerospace Quality Group"が管理運営に当っています。日本では、JIS Q 9100:2009となっています。

法令規制要求事項の優先
AS9100の冒頭、「1.1 一般」には、「この規格で規定する要求事項は、契約内容及び適用される法令・規制要求事項を代替するものではなく、補足するものであることを強調しておく。この規格の要求事項と適用される法令又は規制要求事項との間に矛盾がある場合、後者(法規制)を優先しなければならない」と明記されています。9001でも当然そのはずですが、このような明記はありませんね。
 日本の場合、航空分野では、航空法、航空機製造事業法、宇宙分野ではJAXA(宇宙航空研究開発機構)の品質保証要求文書(JMR, JERG標準)、防衛分野では、防衛省の品質保証共通仕様書DSP Z 9008の適用を受けます。

性悪説に基づく要求事項地上を走行する輸送機器である自動車について、ISO 9001だけでは不十分だとして業界団体がTS16949を作ったわけですが、空間を飛行する輸送機器の複雑性と安全に対する要求レベルは当然自動車より上になりますので、徹底したリスクマネジメントが要求されます。

些末な例をひとつ挙げると、8.3 不適合製品の管理です。
識別管理を徹底するのは9001でも当然ですが、「作業者が故意に、一旦不適合と判定された製品を合格製品に混ぜてしまうことのないように、不適合製品の管理を徹底する(有資格者しか不適合製品にはアクセスできないようにする)」ことが要求されています。アメリカでは、不適合製品は施錠した小部屋に閉じ込めておくそうです。これは、合格品が納期通りに揃わない場合、作業者が不適合製品を「性善説に基づいて置いてある不良品棚」から持ち出して合格品に混入して納入することが多々あるという経験からだそうです。

同様の例は、4.2.4 記録の管理にもあります。AS9100の要求事項にはそこまでは書いてありませんが、航空宇宙業界では(ボーイングやGEなどの顧客要求事項には明記されている)、品質記録は、青か黒のボールペンかインクで記入し、訂正・修正は、その権限を持った人が、元のデータに横線を引き、サイン又は押印・日付を記入する。白マジックでの消し込み修正・訂正は認められません。
これは、「品質記録」というものの意味を厳格に考えれば当然のことですが、日本の9001の審査では「口頭コメント」くらいが相場かと思います。

リスクをどう考えるかリスクは一般に、発生確率×発生した場合の影響の大きさ(重大性)で評価されますね。日本のような、よほど特異な組織、職場でない限り、「性善説」が支配していると考えられる場合と、「性悪説」支配と考える場合では、当然同じ事象に対しても、考えられる「発生確率」が違ってきます。
受審組織と審査員の間で、この「発生確率」の認識が食違うと、いわゆる「重箱の隅つつき審査」やクレームの危険が生じます。当該審査員と、当該審査機関との間で食違うと、どうなるでしょう? 当該審査員にはマイナスの評価が付き、度重なると干されるのでしょうね(^_^;) 汎用規格の審査員にとって、その場その場に応じた適正な「リスク評価」は非常に重要な審査スキルだと思います。一方、適用範囲が限定され、関係者(受審組織、審査員、審査機関)の間での認識の違いが相対的に小さく、受審組織側の規格認証意欲が大きく、より大きな負荷を覚悟している場合には、問題は起こりにくくなります。以前に、「9001とTS16949の審査はどちらが難しいか?」という問題提起をさせていただいたことがありますが、同じ問題意識からです。
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