2014年6月12日木曜日

老兵は黙って去りゆくのみ

老兵は黙って去りゆくのみ:

『日本発!世界技術―この会社が経済再生の原動力になる』 溝口敦/著 小学館 2003年発行
米国が断念した”武器”を持つ日の丸戦闘機 カーボンファイバー 三菱重工業 (一部抜粋しています)
炭素繊維カーボンファイバー)は一般になじみが深い。強く、軽く、弾性があるから、釣り竿やゴルフシャフト、テニスラケットなどにはうってつけで、多小値は張っても(弘法は筆を選ぶ)とばかり、従来素材から乗り換える人が多い。
炭素繊維にはいくつかタイプがあるが、最近圧倒的に多く使われているのがポリアクリルニトリル(PAN)系である。アクリルなど有機高分子繊維を原料に、段階的に1000~1500℃で熱処理、繊維を引き伸ばして炭化する。炭素繊維1本の太さはわずか数μm(1μmは1000分の1㎜ μm:マイクロメーター)。これを束ね、エポキシ樹脂を含浸(がんしん)して、製品原料にする。
こうしたPAN系炭素繊維による一体成形の主翼を持つのが航空自衛隊支援戦闘機F2である。一時、米ボーイング社なども研究開発につとめたが量産化を断念、実用に結びつけたのは日本だけである。F2は00年9月青森三沢基地を皮切りに、順次130気が実戦配備されていく。F1の後継機で、最大速度が約マッハ2(時速約2450km)、全備重量が22.1tという高性能の戦闘機である。
この主翼を開発・製造したのが三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所である。同製作所の主幹技師・小笠原和夫氏が78年から一体成形の技術這初に取り組み、実用化にこぎ着けた。
主翼に使っている炭素繊維はPAN系の高強度、中弾性タイプで、引っ張り強さが1㎜2当たり500kg、弾性率が1㎜2当たり30t。非常に強く、弾性があり、夢の材料といっていいと思いますが、これは繊維だけの値です。実際にはエポキシ樹脂を含浸させた炭素繊維を0度、90度、右・左45度に貼って金属のような力に対する等方性を出しています。そのため強度と剛性はアルミ材と同等のレベル、たたしアルミに比べて理論上40%ほど軽くなります。
というのはアルミの比重は2.8、カーボン・エポキシの比重は1.6、その差分が軽くなるんですけど、実際には主翼カーボン・エポキシの複合材だけでつくるのは難しい。どうしても主翼は燃料タンクやミサイルを抱えるなど、金属部品と組み合わせます。が、それでもアルミと比べおおよそ20%大の軽量化に成功しています」
たった20%といってはならない。飛行機に限らず、空を飛ぶものにとって軽量化は何より重要なのだ。極端な例を持ち出せば、ロケットは全重量の90%が推進材(燃料と酸素)、期待の重さが残り10%、わずか1%がペイロード観測機材や乗員など)に当てられるにすぎない。である以上、機体重量は可能なかぎり軽くしたい。飛行機の世界で強度を犠牲にすることなく、軽量化20%の達成は脅威の数字である。
「使用するカーボン・エポキシは0.3㎜厚のテープ状になっています。それを180℃の過熱下で加圧して硬化させ、主翼をつくっていく。F2胴体との結合部は厚く、80枚は貼る。逆に翼の先端部は30枚でいいとか、部位部位で受ける力に応じて積層枚数を決めていきます」
もちろん主翼は上面、下面とも緩曲(かんきょく)面だが、内部は障子の桟(さん)のようにケタが走って力を受けている。そのケタ部分もカーボン・エポキシの複合材であるうえ、表面部材との接合はボルト締めでも糊付けでもなく、一体成形している。
なんだか竹の上に和紙を貼り合わせた張りぼてを連想する。運動会で頭からかぶるダルマ――。製作は簡単そうだが、事実は逆である。前記したように米ボーイング社などは断念。日本でも三菱重工だけが20年以上の歳月をかけて成功している。
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カーボン・エポキシによる主翼の製造は素人が見聞きして、理解できる技術である。なにしろ材の帖り合わせなのだ。だが破綻なく翼にまとめ上げていくのが難しい。解析ソフトを使うとはいえ、それこそ伝統芸の職人のように材をだましだまし使い、それなりに「養生」もしてやらないと、材は反乱を起して戦闘機どころではない。
これがロケットや飛行機の胴体をカーボン・エポキシでつくるなら、現実には技術を持つメーカーは三菱重工に限らない。基本的に円筒形をつくればいいからだし、円筒形は形自体が安定している。構造も外界から受ける力も主翼に比べれば単純きわまりない。
「とはいえ、機体が成層圏近くに達すれば、機体を取り巻く大気圧も酸素量も減ります。それでは乗員も乗客もたまらないので、機体内部は0.8~0.9気圧程度に与圧しています。成層圏近くのように外圧が低くなれば機体の胴は膨らみ、機体が上空に降り立てば、内外の圧力差はなくなり、元に戻ります。だから空港で機体を注意深く見ると、尾翼近くの胴体に斜め45度の角度でしわが寄っているのが分かります。飛行機の胴体も伸び縮むことで部材が披露を起すとか、技術的には大変なんです」
小笠原氏は取りなすようにこう語る。
そういえば、技術面でF2事態が米国防総省を取りなして、日米共同開発になったいきさつがある。F1三菱重工製で、F2も当初国産を予定していたが、アメリカの横槍で米F16を土台に改造型で行くことで政治決着した。小笠原氏は最後、感慨深げにこう語る。
「76年、カリフォルニア州ロングビーチのダグラス社に立ち寄り、一体成形の試作品を見せられ、さすがにアメリカは進んでいるとびっくりしたものです。日本では理論的にはできるだろうと思われていただけのことを、すでに、実用化に着手している。いつか日本でもと思って、帰国後、研究・開発に当たりましたが、向こうは断念、こちらは成功、思いは複雑です。 幸い日本は複合材の材料技術で世界の最先端を走っています。そういう技術の蓄積があればこそ、私たちはアルミより軽い軽量化を実現できた。次の課題は、価格面でもアルミ構造より安く、低コスト化できないかということです」
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どうでもいい、じじぃの日記。
ぼけっと、『日本発!世界技術―この会社が経済再生の原動力になる』という本を見ていたら、「米国が断念した”武器”を持つ日の丸戦闘機 カーボンファイバー 三菱重工業」というのがあった。
「こうしたPAN系炭素繊維による一体成形の主翼を持つのが航空自衛隊支援戦闘機F2である」
2000年に実戦配備されたF2戦闘機以降の開発はどうなっているのだろうか。
炭素繊維電波を通してしまう性質があるため、最新戦闘機には必須のステルス性にマイナスなのだそうだ。軽ければいいというもんじゃないらしい。
PAN系炭素繊維1961年通商産業省工業技術院大阪工業試験所(現産業技術総合研究所)の進藤昭男氏により、発明された。
4月22日、日本航空成田アメリカボストンを結ぶ新規路線を開設し、最新鋭の中型旅客機「ボーイング787」を就航させた。
このボーイング787は全部品の35%が日本製だ。東レ炭素繊維複合材料を使って20%、軽量化し燃費を改善している。
三菱重工業の子会社である三菱航空機で今、日本初の国産ジェット旅客機「MRJ」の開発が進められている。MRJには炭素繊維複合材が30%使われている。
約50年前、日本は国産プロペラ機「YS-11」を開発した。しかし、サポート体制らの不備で長く使われることはなかった。
ボーイング787は準国産機だといわれている。国産ジェット旅客機があっても不思議ではない。
世界一の国産ジェット旅客機も夢ではないのだ。
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