2013年5月9日木曜日

MRO 航空機 整備 - ビジネス航空 ビジネスジェット ビジネス機 MRO 風洞 ビジネス航空推進プロジェクト 石原達也:編 Business Aviation Business Jet Business Aircraft Biz Jet

MRO 航空機 整備 - ビジネス航空 ビジネスジェット ビジネス機 MRO 風洞 ビジネス航空推進プロジェクト 石原達也:編 Business Aviation Business Jet Business Aircraft Biz Jet:

MRO 航空機受託整備産業

 MROとは、Maintenance, Repair & Overhaul (メンテナンス・リペア・オーヴァホール=整備・修理・重整備(分解点検))の略称で、航空機の整備・修理に関わる諸産業の総称。航空会社の整備部門が独立したケース、OEMメーカーが独立したケース、当初からMRO企業として創業したケース-の3パターンある。
ボーイングやエアバスに代表される航空機製造業が、航空機を使う前段階で必要なサービスとするなら、MROは航空機を使い始めたあとで必要なサービスという位置づけになる。
すなわち航空機産業とは、概略次の3ステージで表される産業といえる。
 
 Stage 1 航空機製造業(使う道具を造るサービス)
       機体メーカー、部品メーカー、風洞試験施設など

 Stage 2 航空機運航業(道具を使って利便性を供給するサービス)
       ビジネス航空、定期航空、EMS(救急医療空輸)など

 Stage 3 MRO(使った道具を整備するサービス)
       メーカー系整備企業、航空会社系整備企業、独立系整備企業
 
航空機 メンテナンス 整備 MRO
航空機メンテナンス
写真=MROを手がける数少ない日本企業のひとつ、名鉄グループ中日本航空(県営名古屋空港内の同社ビジネスジェット格納庫にて)。
 

航空機産業の成立要件

 MROは、広義には自社機の整備も含まれるが、正確には他者からの整備オーダーを受けてサービスを提供する「受託整備産業」を指す。
高度な技術を背景に製造された航空機も、日用品と同じく価格競争にさらされることが多いが、MROは整備技術=無形価値に立脚するので、一般的に利益率を安定して確保できる傾向がある。また、製品が売れた時点の1回しか売り上げの発生しない航空機製造に対し、航空機が使われるほど繰り返し需要が発生することも特徴であり、航空機産業における有力分野のひとつとなっている。

たとえば航空機メーカー世界大手ボンバルディアを擁するカナダでは、07年度の航空宇宙産業部門別売上高を見ると、MROは37億カナダドル(約3,200億円、09年11月現在の為替レートによる)で、航空機・航空機部品・コンポーネント製造の125億ドルに次いで多く、エンジン・エンジン部品製造33億カナダドル、航空電子機器・電子システム製造13億ドルを上回る。
また、名機フォッカーの生産国で、ヨーロッパ最大級の風洞施設を有する航空機産業大国オランダでは、07年の民間航空機工業の年間売上高のうち、3分の2以上となる15億ユーロ(約2,000億円、09年11月現在の為替レートによる)をMROが占めており、年々成長をつづけている。

先進諸国以外でも、近年では中国やメキシコ、東南アジア諸国などでも産業基盤が整い始めている。それに対し日本では、まともに産業として確立されておらず、ビジネス航空同様に「日本の空に欠けたもの」となっている。
航空機 塗装 再塗装 MRO
航空機再塗装処理
写真=オランダの航空機再塗装業者Maastricht Aviation Aircraft Service(MAAS)社。300社ほどの固定客を持ち、利益率は15%に達する。MROビジネスの高付加価値ぶりをうかがわせる好例といえる。
 
 航空機は自動車や家電と違い、1機種で500機も売れればベストセラーになる製品であり、その意味で極めてマーケット規模が小さい。部品点数こそ数十万~数百万点と、自動車の10~100倍にのぼるが、要求される技術水準が高い上に、各国航空当局から審査に次ぐ審査を受け、認証を与えられなければ、ネジ1本として使用が認められない、非常に参入障壁の高い産業でもある。
さらに完成品の販売数が絶対的に少ないので、適正な価格が市場原理では守られないケースが発生したり(一部の買い手に値切られただけで、収益が成り立たなくなるリスクが高い)、販売量が目標に達しない場合は開発費の回収を含めた事業リスクが極めて大きくなる特徴を持つ。
航空機製造業者の利益が出るのは、交換部品の需要が継続的に発生し始めてからとなり、20~30年はかかるというのが業界の一般認識だ。

そうした観点から、航空機部品の製造業が成立するには、MROビジネスの成立が暗黙の前提となる。よってMRO産業が確立していない日本の社会環境では、航空機産業そのものの成立も極めて困難といえる(既に海外メーカーに販路開拓を実現している一部の有力企業を除けば)。
JAL 羽田 整備 格納庫
JAL羽田整備格納庫
写真=日本の2大航空会社JAL・ANAも、整備できるのは自社機のみ。日本はMROが成立する社会基盤が脆弱なため、他国の航空会社のように、受託整備サービスで収益を得ることは極めて困難となっている。写真は羽田空港にあるJAL整備格納庫。
 

航空機の整備

 航空機(主に航空会社の機材)の整備には、運航の合間や夜間駐機中に駐機場でおこなう「ライン・メンテナンス」、格納庫に入れておこなう「重整備(ヘビー・メンテナンス」の2分類があり、さらに次の4段階に大別される。

     飛行間整備=運航の合間におこなう簡易整備・点検作業。駐機場に置いたままでおこなう。外観点検、燃料補給、エンジン・オイル補充、運航中発生した故障の修理、出発態勢の確認など。
  
     軽整備=1~2カ月程度の頻度でおこなう。A整備と呼ばれる。所要時間は半日~1日。作動油や酸素などの補充、タイヤやブレーキ、エンジンなどの状態点検が中心。
  
     点検整備=1~2年程度の頻度でおこなう。重整備のうちC整備と呼ばれる。所要時間は5~10日間。格納庫が不可欠。諸系統の配管、配線、エンジン、着陸装置などの入念な点検、機体構造の検査、各部の給油、装備品の交換などをおこなう。
  
     重整備=5年前後の周期でおこなう最も大掛かりな整備。D整備あるいはM整備と呼ばれる。3~4週間かけ、機体構造の内部検査、防錆処置、各システム諸系統の徹底した点検、機能試験などを実施する。大規模な改修(旅客機→貨物機など)も、このタイミングでおこなう。格納庫が不可欠。
  
航空機 座席 シート メンテナンス MRO
航空機座席の重整備
写真=重整備では客席なども取り外され、部品交換などがおこなわれる。オランダのリージョナル機専門重整備業者SAMCOの格納庫にて。
 

中国厦門の大規模航空機MRO拠点

 このうち日本国内でおこなわれているのは、③の点検整備まで。④の重整備は、コストを抑えるために中国やシンガポールの整備会社に委託されている。作業工程が多いのでエンジニアの数が必要となる反面、1機あたり5年に1度しか仕事が発生しないため、非常に大きな人件費負担を伴うからだ。

たとえば香港の東約500kmにある交易都市厦門(アモイ)には、ボーイング747-400などジャンボ・ジェット機を対象とした大規模MRO拠点TAECO(テコ)がある。キャセイ・パシフィックの航空機整備会社HEACO(ヘコ)、キャセイ、JAL、ボーイング、地元行政機関や中国航空当局関係機関などが共同出資して、1996年に立ち上げたものだ。
09年8月現在、TAECOにはジャンボ・ジェットを2機収容できる格納庫が6つあり、計12機のジャンボ機に対し、重整備や貨物機改修などをおこなう環境が出来上がっている。
ジャンボ ボーイング747 B747
ジャンボ機
写真=ジャンボ機の愛称で知られる半2階建ての大型旅客機B747。
 
 技術レベルは高く、FAA(米連邦航空局)とEASA(欧州航空安全当局)という航空業界における世界2大監督機関を筆頭に、各国航空当局の認証を受け、東アジアに飛来する大手エアラインの機材整備を一手に引き受けているほか、日本の国土交通省航空局の2年に1度の現地審査にもパスしており、JALおよびANAの機材の重整備も受託している。
従業員数は、07年8月現在4,700人。設立当初は、キャセイやJALから送り込まれた指導スタッフが、現地採用スタッフの訓練に当たっていたが、現在では現場の人員はほぼ現地採用スタッフが占めており、着実に技術力を高めてきている。

中国では同様のMRO拠点を、北部の山東省にも稼動させており、日本の一部航空会社の整備需要を全て取り込んでいるようだ。

このほかシンガポール、タイ、ニュージーランド、台湾なども、日本の航空会社の整備委託先となっている。こうしたMRO拠点には、交換部品の生産工場も立地しているケースがある。
 

なぜ日本でMROが成立しないのか

 日本に技術力がないわけではない。厦門のTAECOも、成立にはJALスタッフの指導が大きな役割を果たしており、「日本品質」は中国MROの強力なセールス・ポイントになっている。きめ細かな仕事ぶりも含め日本企業の技術水準は、航空機整備の分野でも非常に高いレベルにある。
それにもかかわらず日本でMROが成立してこなかった要因として、複数の航空会社関係者が共通して挙げる障壁は、
 
     コスト競争力
 
     法制度の不備
 
     土地不足
 
     市場規模
 
-の4点だ。

特に①と②は相関性が深い。次の2つの写真は、ともに航空機の再塗装の現場。航空機の塗装は、厚みが数ミクロン異なるだけでも、全体で数百kgの重量差になり、空気抵抗にも大きく影響するため、熟練エンジニアの感覚を頼りに手作業でおこなわれる、極めて高い技術水準が要求される分野のひとつでもある。
前者は、オランダ政府が国家プロジェクトとして進めているMROクラスターMaintenance Boulevard(メンテナンス・ブールヴァール="航空機整備の並木道")の立地企業の作業風景だが、後者のJAL羽田整備格納庫の様子と比べると、非常に作業環境が簡素であることが見て取れる。
航空機 塗装 MRO 整備
航空機再塗装
写真=このページの前半に掲載した写真と同じ、メンテナンス・ブールヴァールの再塗装業者MAAS社。写真の機材はB737だが、MAASはこのクラスの機材を1週間で再塗装できる。同等の技術力を持つ企業は、日本ではJAL・ANA系整備会社しかないようだ。
 
JAL 航空機 塗装 整備 羽田
航空機再塗装 JAL 羽田
写真=JAL羽田整備格納庫。B777に塗装処理をおこなっているが、周辺機器の仰々しさは全く別次元と言って良い。これら周辺機器だけでも数億円の設備投資になる。作業員はヘルメットおよび命綱着用厳守で、命綱用のフックなども設置されている。
 もちろん主力エアラインの大型機材用整備格納庫と、中小企業による中古機の整備格納庫を同列に比較することは適切ではないかもしれない。「機体に触れることも、エンジニアが落ちることもないよう、絶妙の距離で航空機に接する作業用の足場を、機種ごとに個別に開発し、オートメーション稼動させる技術は日本特有のもの」(JAL広報)であると同時に、「自分の安全には自分で責任を追う欧米文化と異なり、日本では労働災害対策には企業と従業員が共同で取り組む文化がある」(同)ことも事実だ。
航空機 整備 現場 設備 羽田空港
航空機整備用足場
写真=JAL羽田整備格納庫の、作業足場のアップ。航空機に触れても機体が傷つかないようゴム製のカバーをはめたり、機体への異常接近を感知するセンサー(写真中央下の、先端が丸い棒)をつけてある。これも日本特有のものらしい。
 
 とはいえ、ほかの航空会社の整備部門マネージャーが「脚立で間に合う小さな機体上部の飛行前点検でさえ、安定した足場を用意するように労働安全機関から指導されることもある」と話すように、過剰な安全意識が作業現場を圧迫している側面も無視できない。
 重工系の航空会社からも「FAA(米連邦航空局)が認めた交換部品にさえ、国交省航空局はなかなか認可を与えようとしない」との話を聞く。FAAは自前の滑走路や研究施設を保有し、航空機部品の安全性などを実際のフライトを交えて検証する能力があるが、日本の航空局にはそのような能力はない。

にもかかわらず、「他の国々では使える技術や製品が、日本では認められない」(航空会社マネージャー)、「行政による検査への対応に人手と予算の大半を取られ、肝心の整備はメーカー指定のマニュアルの範囲で済ませるしかないのが、日本の航空機整備の実状」(重工関係者)となっている。
一方、諸外国のMROは、単なる整備・修理にとどまらず、より排気ガスの少ない環境配慮型エンジンへの改修、電子航法装置のアップグレードなど、独自技術を盛り込んで機能改善を施すことを付加価値として、競争力を高める時代に入っている。

結果として日本の航空会社は、もともとは優れた技術力を持ちながら、高い輸送コストと外国企業の人材育成(技術流出)という代償を支払ってでも、海外企業に航空機整備を発注せざるを得ないという状況がつづいている。
ある重工関係者は、MRO事業進出のリサーチをしたときの経験を振り返り、「JALの格納庫なども見学・ヒアリングした結論として、"到底ビジネスとして成立し得ない"と断念した」と語る。
国交省関係者も「日本でLCC(ローコスト・キャリア=格安航空会社)が発展しない理由と、問題の根幹は同じ」として、本業以前の段階で競争力に差がついてしまう環境について、思うように改善を進められない状況に苦慮をにじませている。

作業環境の要求基準の厳格さも、高い安全意識に由来するものであり、誇るべき側面はある。しかし複数の航空会社関係者らは、「そのために、自国の仕事が他国に流出している恐ろしさも直視するべき」と警鐘を鳴らしている。
 

飛行機が少なすぎる

 より致命的な要因が市場規模だ。日本は飛行機が少なすぎる。
 
日本で用いられている航空機は、JAL・ANAによる定期旅客機・定期貨物機が大半であり、ビジネスジェットや自家用飛行機がほとんど存在しない。
日本の定期旅客機は、JAL・ANAの所有機材計約500機を中心に、約600機前後。日本と同様、国土の狭い島国イギリスの旅客機は900機以上あるが、この分野に限れば、日本は決して少ないわけではない。
 
だがビジネスジェットを見ると、日本が54機で過去10年ほとんど増えていないのに対し、イギリスは約470機が就航しており、年間40~50機ほど増加をつづけている。
さらに、General Aviation(ゼネラル・アヴィエーション、略称GA。ビジネス航空のほか、プライベート・ジェット、遊覧飛行、測量飛行、EMS=救急医療空輸、農薬散布フライトなど、定期航空を除く民間航空の総称)用の航空機では、固定翼のエンジン機だけでも、イギリスは9,600機以上に達する。日本は数百機程度しかない。


日本
イギリス
アメリカ
定期航空機
600
900機以上
7,300
ビジネスジェット
54
470
17,000
GA
(固定翼エンジン機)
数百機、詳細不明
9,600
20万機
空港数(公共用)
98
200前後
5,000
※日本のデータは各航空会社のサイト、JBAA(日本ビジネス航空協会)のレポートより。イギリスのデータは英国運輸省のサイト、IBAC(国際ビジネス航空評議会)の統計資料、BBGA(英国ビジネス・ゼネラル航空協会)のハンドブックより。アメリカのデータはFAA(米連邦航空当局)のサイト、IBACの統計資料、GAMA(全米ゼネラル航空機製造協会)の年次レポートより。
 
 上の表に示すとおり、航空機の就航機数ベースで見れば、日本のエンジニアが飛行機を整備する機会は、定期航空機ではイギリスのエンジニアの2/3、アメリカのエンジニアの1/13しかなく、ビジネスジェットではイギリスの1/9、アメリカの1/300、GA機に至ってはイギリスの1/10~数十分の1以下、アメリカの数百分の1以下である。
 
 アメリカは別格としても、ビジネスジェットの機数はカナダ900機以上、メキシコ約800機、ブラジル800機弱、ドイツ500機弱、フランス約300機、スイス200機以上-と、日本の少なさが際立つ。

MROは大手航空会社の機材だけが対象ではない。空港ごとにFBOサービスの一環としてMROがおこなわれるビジネス航空やGAが広範な裾野を形成し、はじめて成立する産業でもある。
航空業界では、エンジニアやパイロット(※)などが、定期航空会社、ビジネス航空会社、航空専門学校、GA事業者などの業態の垣根も、企業の国籍も越えて転職を繰り返し、多様なノウハウを個人レベルで蓄積することで、業界全体のレベルアップにつながっている。つまり「日本にはMROが成立するための裾野が、あまりにも不足している」(米国商務省スタッフ)。
 
 MROを手がける数少ない日本企業のひとつ中日本航空は、自社運航機材と同機種の航空機を対象に、自社機材整備のノウハウを生かして受託整備事業を展開しているが、諸外国では、近距離用小型機種から大洋横断可能の大型機種まで、数十機種を対象に重整備などを手がけるMRO企業も珍しくなく、日本と他の国々の差はあまりに大きい。
アメリカ 航空機 整備 USA aircraft maintenance MRO
FBOでの航空機整備(GA機)
写真=FBOでのMRO。定期航空会社と違い、機体トラブルが発生しても代理の機材で飛べるわけではないビジネス航空やGAでは、空港ごとに格納庫が設置され、MROの環境が整備される。写真は米国アトランタ市の自家用飛行機専用空港Peachtree。
 
aircraft spare parts 航空機 交換部品 予備品
英ビギン・ヒル空港
写真=ロンドンにある自家用飛行機専用空港Biggin Hill。格納庫(写真奥)が立ち並び、航空機部品ショップ(手前)が立地している。なお、空港の年間発着回数は約35,000回(航空産業の国際情報誌AINの報道より)。
 
※ パイロット人材もまた、裾野の不足という共通の問題を抱えている。欧米や中国などでは、自家用飛行機パイロットや事業用パイロットのライセンス保有者が膨大な数にのぼり、大手航空会社パイロットの人材供給源となっているが、日本のパイロット人口は大手航空会社社員に偏っている。欧米や中国では、低コストでライセンスを取得・維持できる航空専門学校が多数存在し、手厚い奨学金制度が整っており、自家用飛行機のフライト環境も充実しているのに対し、日本ではそうした環境がほとんど存在しないことが要因。日本人パイロットの多くは、ライセンスの取得だけでなく、その維持に必要な飛行時間を満たすため、一定期間アメリカに滞在して免許更新をおこなう。往復の航空運賃、現地での宿泊費を加えても、日本でライセンスを取得・維持するより費用負担が少ないからだ。
 

そして日本は孤立する

 冒頭で述べたように、MROの存在は航空機製造業の発展にも大きな役割を果たす。整備環境が確立されていれば、航空機を安心して利用できるためユーザー(航空会社や自家用飛行機利用者など)も増え、航空機製造業のマーケットが広がる。また、日々の業務で航空機を使用する航空会社系MRO業者の経験と知見は、メーカーの技術力にもフィードバックされる。当然、航空会社もビジネスジェットも、整備環境の確立した地域でなければ、安心して飛来することができない。
 
対岸のアジア諸国が、経済発展とともに大規模なMRO拠点を国策として展開し、航空機整備のハブ競争を繰り広げ始めた今、航空機による人・モノ・金・情報の流れは、本格的に日本を素通りし、アジア諸国に向かい始めている。
これらアジア諸国ではビジネスジェットの利用環境も、専用国際空港や専用国際ターミナルをはじめ急速に整備されつつある。有力ビジネスマンたちが高頻度で交流し、親密な人間関係を築くことで、国レベルの経済交流が強化され、外交上のメリットにも結びついていくからだ。日本における定期便のハブ空港整備の遅れなど、氷山の一角に過ぎない。
 
現代において、グローバルな交流の足となるのは航空機であり、その大規模な流れから孤立することは、航空関連産業だけではなく国力の全てに深刻な影響を及ぼしていく。MROが成立しない日本の社会環境は、日本経済そのものの没落につながる危険性が高い。

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