2013年4月25日木曜日

客観説TQM 第4節 QCサークルの性格(日科技連等)

客観説TQM 第4節 QCサークルの性格(日科技連等):

第4節 QCサークルの性格(日科技連等)

1.名古屋地裁判決
2007年11月、名古屋地裁は客観説TQMの考え方に沿って、勤務中に急死したトヨタの元社員の過労死を認め、QCサークル活動を「業務と判断するのが相当」との判断を示した(堤工場事件)。
これを受けてトヨタ自動車は、生産現場の従業員が勤務時間外にグループで生産性向上などに取り組むQCサークル活動を業務と認めた(2008年5月22日、読売夕刊)。
原則として残業代を全額支払うことを決め、6月1日から残業代支給の上限を撤廃する。
 QCサークル活動は、生産性向上を目指すトヨタの全社的活動「カイゼン(改善)」の柱であり、自主的な活動としつつ生産現場の従業員約4万人の全員参加が原則で、活動の成果は人事評価の対象であった。このため、位置づけが不明確でサービス残業の温床となっているとの指摘もあった。
トヨタは、活動について事前に上司への申請を行うものとし、管理職の指揮下にあることを正式に認めた。
QCサークルに自主性がないことは元来当然で、全ての指導機関が反対説を唱える中で唯一、客観説は当初からそのように結論を出している。

2. 業務と認める意義
QCサークル活動を「業務」と認めるとは、「個人的な活動ではなく、正式な業務であり、給与の対象になること」をいう。
QCサークル活動は「日常業務」ではないが、「日常管理」である。ここに「日常業務」とは、毎日の仕事として専門に従事する業務をいう。「日常管理」とは、日常業務で生じるムダ・ムラ・ムリを削減する改善活動をいい、費用をあまりかけずに必要に応じて行う管理業務である。
日常管理は、本来、管理職の分掌である。しかし、データ収集・解析・改善策の考案・実施などの活動を行わねばならず、現代のような高度化・複雑化した業務形態において、管理職だけで行うのが困難であるが故に、第一線の担当者を参加させるようにした組織形態がQCサークルである。
 ところが「QCサークルは自主的活動であって、部課長の指揮するところではない」という誤った指導を受けると、次の弊害を生じる。
  1. 不当労働行為:2007年11月名古屋地裁判決で指摘された通りである。
  2. 管理職の怠慢:日常管理をQCサークルに任せきりで、他人事のように審査員などをしている。
  3. 改善の停滞:大きな成果を求められるが、休み時間だけで管理職の協力もなく、大した改善はできない。
  4. ウソ話の横行:→ 発表のための活動。
QCサークル活動は、「本来は管理職が行うべき日常管理」を自発的・積極的に補佐する活動である。従って正規の業務であり、管理職の指導を得て、その指揮下で行うのが正当である。

3. 自主的活動とされた経緯
以上の動きは、QCサークル活動を自主的活動として誤って実施してきた他の製造業にも広がりそうである。
注意を要するのは、QCサークルが自主的活動でないのは、サービス残業を防ぐためではなく、理論上、本来的に自主的であり得ないからである。
部長・課長が日常管理を担当し、QCサークルも日常管理を担当するから、後者が前者の指揮下にあり、従って自主性がないことは当初から明白である。
大学や日科技連を始めとする様々な指導・教育機関が「自主的」と定義してきたのは何故か?
 1.自主的(Independent、指揮命令を受けない独立性)の意味を理解していない傾向がある。自発的(いちいち指示しなくても取りかかる)、積極的(催促しなくても進める)とするのが正しい。
2.石川馨(発案当時の東大教授)がQCサークルを提案した当時は、実務界が勤務時間中の採用を拒否した。作業者に改善など出きるわけがなく、やってもムダと考える抵抗勢力が圧倒的だった。
そこで、せめて自己研鑽を目的とする時間外活動として試験的に導入させようとして「自主的活動」と定義づけた。「自主的」は抵抗勢力の関門を通過するための一時しのぎの方便に過ぎなかった。

4. 指導機関への期待
この事件について、日科技連は次のようにコメントしている(2008年5月22日、読売朝刊)。
「時間外のサークル活動に手当てを支給していない企業は、04年の調査では約3割で、中小企業が多かった。今回のトヨタの判断を受け、他の企業にも支払いの動きが広まるだろう」と。
このコメントは、まるで他人ごとのように聞こえるが、「自主的活動である」として長い間誤った指導をしてきたのは、とりもなおさず日科技連に他ならない。
これまで下の図に示すように、多くの出版物にQCサークルの自主性を説いており、後始末をどうするのか、責任ある対応を期待したい。この機会に客観説に沿った全面的な見直しをすることが唯一の道と確信する。
例えば、次の是正が望まれる。
  1. QCストーリー(テーマ選定理由、目標、計画と実績、典型ストーリーと実務ストーリーの区別、予防状況の調査と予防型の活動、その他)
  2. 目標概念(願望・ノルマ・ニーズと目標の区別)
  3. 特性要因図(管理用と解析用の区別、原因と要因の区別など)
  4. 方針管理(フィードフォワードへの変更、方針概念と方策概念の変更)
  5. FMEA理論(故障モードの意味の是正、4点法と絶対評価への変更)
  6. e-QCC(廃止。方針管理で行うべき高度の活動をQCサークルに押し付けてはならない)
  7. 発表テーマ(過去のテーマに限定)
~など、指導機関が行うべき是正は多方面にわたる。
〔現在でも販売されている日科技連の本〕

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