2013年4月15日月曜日

水深1600メートル 深海の鉱物、狙われる日本 -- 海底と資源 -- 朝日新聞GLOBE

水深1600メートル 深海の鉱物、狙われる日本 -- 海底と資源 -- 朝日新聞GLOBE: "本"

[Part1]水深1600メートル 深海の鉱物、狙われる日本

パプアニューギニアで、水深1600メートルの海底に眠る金属鉱物資源を掘って商業ベースに乗せようとする世界初の試みが進んでいる。原油や天然ガスに次ぐ深海底の「第3の資源」開発だ。

取り組むのは、カナダに本社を置くベンチャー企業「ノーチラス・ミネラルズ社」。金、銅、銀、亜鉛などを狙う。開発する鉱区の推定埋蔵量は154万トン。2014年の生産開始を目ざし、今年4月には採鉱するための装置の製造に着手した。業界関係者らの注目は高く、出資者には資源大手のアングロ・アメリカン(英国)、テック・リソーシズ(カナダ)などが名を連ねる。

この海底に資源があることは長年知られていたものの、引き揚げ技術が未熟でコストがかかり、商売にならなかった。ところが、技術開発が進んだうえ、近年は資源価格が高騰。産業技術総合研究所の中村光一は「品位や量によっては採算が合うようになった」と説明する。
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海底の希少金属の資源量で世界トップクラスと目されているのは、実は日本だ。陸地面積の広さだと日本は世界で62番目にとどまるが、資源開発の権利を持つ領海と排他的経済水域(EEZ)の面積は世界6位になる。

とくに海底から噴き出す熱水孔が複数見つかっている沖縄や小笠原諸島の周辺海域は水深700〜1600メートルと比較的浅く、商業化しやすいと言われている。熱水に溶けている金属が海水によって冷やされて海底に大量にたまっていると見込まれている。その経済価値は80兆円相当とはじいた試算もある。

日本の海底資源に対し、海外の鉱山企業は高い関心を抱き、海域をいち早く押さえようと狙っている。

07年2月、英企業の日本法人が日本政府に対し、日本のEEZ内の9海域、133カ所で金属鉱物の鉱区設定を申請。翌年には405カ所を追加で申請した。これは、日本側を大いにあわてさせた。技術のあるなしにかかわらず、先に申請さえすれば優先して鉱区を取得できる制度だったためだ。

「このまま放っておくと、鉱区を押さえるためだけのペーパー会社が横行する恐れがあった」と資源エネルギー庁の担当者は言う。申請を保留にする一方、鉱業法を今年改正し、出願者の技術力や資金力を許可基準に加えるとともに、開発の主体を国が選べるようにした。

だが、国内の動きはまだ鈍い。

日本政府は08年に「2018年をめどにメタンハイドレートと海底の鉱物資源の商業化をめざす」との計画を立てた。ところが、国主導の鉱物開発は5年目に入っても埋蔵量すら把握できていない。

国内企業も海底鉱物資源の開発には及び腰だ。ある会社の幹部は「先行きの分からない資源開発に巨額の投資はできない。『商業化』という言葉だけが独り歩きしている」と漏らす。

確かに、資源開発は当たりはずれがある。開発リスクを背負いたくない国や企業は、小回りが利くベンチャー企業に一部出資する形で参加することが多い。ノーチラスはその一例だ。

一方、あくまでも自前開発にこだわるのはフランスだ。2年前、南太平洋の領海内での資源調査を国主導で始め、参加している仏企業の幹部は「国自体が調査に積極的なので、参加の判断がしやすかった」と話す。

官民で開発を目指すという構図は日本も同じだが、日本総合研究所理事長の寺島実郎は「公共事業的な発想でなく、商業化を成し遂げるという戦略意志とスピード感を国が示さなければ、企業も積極的には協力しにくい」と指摘する。
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日本は70~90年代、おもにマンガン開発を狙って、太平洋の水深5000メートルの公海で鉱物調査や採鉱を官民一体で試みた。しかし、金属価格が下落。20年近くで400億円近い予算を投じた計画は頓挫した。採鉱技術の専門家として当時の計画に参加した大阪府立大教授の山崎哲生は「このような失敗は許されない、という意識が政府側にあるのでは」と分析している。


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